昭和新撰江戸三十三観音が、札所めぐりスタートに最適な理由

昭和新撰 江戸三十三観音札所

御朱印集めをもっと楽しむべく、いよいよ札所巡りしてみたいと思っているけれど、なかなか最初の一歩を踏み出せない人に向けて、当アカジンジャーナルでは札所巡りのスタートとして「昭和新撰江戸三十三観音」をおススメしています。

東京や首都圏在住の人には特におススメ。もちろん一味違う東京街歩きとして観光にもおススメですよ。

江戸三十三観音の歴史とアウトライン

昭和新撰江戸三十三観音は、「昭和」と名の付くだけあって、現在の34か所(33か所+番外1か所)が制定されたのは何と昭和51年です。とはいえ何もないところからいきなり決められたわけではありません。

その始まりは江戸時代。四国八十八か所やお伊勢参りなど、一生一回できるかどうかの大旅行ではなく、仏僧の修行ともまた違う、江戸の町中で完結するお手軽レジャーのような楽しみ方をされていました。

江戸時代は国民統治の方法として「寺請制度」というものが定められ、国民はすべてどこかのお寺の檀家に属することが義務付けられました。それによって、お寺は檀家に子どもが生まれたとか結婚したとか亡くなったことを把握する、役所のような役割を兼ねました。ところが明治時代になると、日本の宗教は神道であると決められ、多くのお寺は苦境に立たされます。江戸時代の始まりと終わりは、お寺にとって大きな影響を及ぼす国の方針の転換があったわけですね。

そのため、寺が廃されたり仏像が壊されたりする廃仏毀釈という行為も行われました。今でもたまに首のないお地蔵さんを見たりすることがありますが、これはその廃仏毀釈の爪痕です。

江戸三十三観音もこの波をかぶり、江戸時代に三十三観音の札所と現在の昭和新撰江戸三十三観音のお寺は、半数以上が入れ替わっているということです。

edo33book
昭和新撰江戸三十三観音の公式ガイドブック。
多くの札所で販売していますが、私が神楽坂の個人経営の書店で買い求めました。

「はじめての巡礼(札所めぐり)」として昭和新撰江戸三十三観音霊場をお勧めする4つの理由

理由1:すべて行きやすい場所である

昭和新撰江戸三十三観音の札所34か所のすべてが23区内にあります。ですから公共交通機関の便がすこぶる良いわけです。電車やバスの本数を気にすることもありません。都内に通勤している人なら通勤定期も上手く活用できることでしょう。

日帰りで気軽に行けるということは、ふと思い立ったときに出かけられるということで、「せっかく交通費かけて行ったんだから」と、無理なスケジュールを組まなくて済みます。

もちろん都内ですからコンビニやカフェもいたるところにあり、食事や休憩、トイレの心配も無用ですね。

googleマップで各札所の御朱印江戸三十三観音をマッピングしてみました。これを見るといかに都内に集まっているかがわかりますね。

ちなみに下のgoogleマップには、東京十社と関東三十六不動の札所もマッピングしてありますから、ご興味のある方は左上のメニューをクリックしてみてっくださいね。

東京十社のレポートはこちら

東京十社巡拝を一回終えたので、いったん総括をしてみます
東京十社の始まりは明治元年(1968年)。皇居が東京に移り間もなく准勅祭社と定められたことにあります。准勅祭社というからには「勅祭社」に准ずるものということで、この勅祭社というのは祭礼に際して天皇により勅使が遣わされる神社のことです。当時は...

関東三十六不動のレポートはこちら

関東三十六不動霊場巡礼のプロローグはウンチクから
巡礼は必ずしも一気呵成に・順番通り行わなければならないものではありません。もちろん旅行を伴う巡礼はある程度のハードスケジュールもやむを得ないところでもありますが、東京在住の人が週末を利用して少しずつ回っていける巡礼コースの一つが「関東三十六...

理由2:さまざまなタイプのお寺に行ける

初めての札所巡りとして私が一番お勧めしたいのがこの点です。

一口にお寺といってもいくつかの種類があります。これは宗教的な観点ではなく行く側から見たもので、私の勝手な分類ですが、だいたい以下のように分かれると思っています。

  1. キョナラ(京都・奈良)や鎌倉の大寺院のような観光寺院(拝観料が必要なところが多い)
  2. 四国八十八か所、秩父三十三か所の札所など巡礼のメジャーどころ
  3. お祓いや厄除けで名高い祈願寺
  4. お墓や檀家を持つ地元のお寺

1,2,3のお寺は、ほとんどのとこに御朱印所(納経所)が常設されています(授与品も色々売ってます)。御朱印をいただきたければそこに行って御朱印帳を出して「お願いします」と申し出れば御朱印を書いていただけます。しかし昭和新撰江戸三十三観音霊場はそのような寺院ばかりではありません。というか多くの札所が4に属するお寺です。そのようなお寺は常設の納経所はありません。

では御朱印をいただくにはどうすればよいのでしょう。

それは、お寺の庫裏(くり・お寺の方の生活の場兼寺務所)に行くのです。人のうちの玄関みたいな感じで、インターフォンを押したり「ごめん下さい」と声をかける必要があります。最初のうちはちょっと勇気がいりますね。でも、そういった行動を通してお寺の方と世間話をしたり、お寺を身近に感じたりすることができるし、いただいた御朱印一つひとつが思い出深いものになると思うのです。

中には「よくお参りくださいました」と御供物(お菓子など)をくれたり、お堂の中に上げてくれて間近で観音様にお参りできるところもあります。

理由3:人よりディープな東京を知った気分になれる

谷根千とかお好きな方はすでに存じでしょうが、東京はお寺だらけです。

その理由は人口が多いから。江戸は江戸時代の末期には世界一の人口を擁する都市でした。ですから前述した寺請制度(寺院に役所的な機能を持たせ、市民は必ずどこかのお寺の檀家になることとした)で多くのお寺が江戸に設けられたわけです。その後明治の神仏分離や廃仏毀釈でその数を減らしたとはいえ、今でも多くの人の想像以上にお寺があるのです。

下の写真は、22番札所の補陀山長谷寺(ほださんちょうこくじ)の札所本尊である「麻布大観音」が安置されているお堂です。2層のお堂は吹き抜けになっていて、その中には高さ10メートルの十一面観音立像がおさめられていますが、この場所は都心も都心、港区の西麻布交差点からほど近いところにあります。六本木ヒルズや東京ミッドタウンからも徒歩圏内。そんな今風の街にこんな巨大仏像があるなんて、知っている人はそうそういないでしょう。

西麻布の交差点のすぐ近くにこんな大きな観音堂が。迫力の「麻布大観音」が安置されています。昭和新撰江戸三十三観音霊場22番ほださんちょうこくじ

このように、札所巡りという観点から東京を歩いてみると、よく知っていると思っていた街にも違う側面があるということがよくわかります。

もう一つうんちく

上にあるgoogleマップを見てもわかる通り、昭和新撰江戸三十三観音は、品川・芝エリアと文京区エリアに札所がたくさんあります。それはなぜかというと、街道から江戸に入ってくる場所だから。江戸の都市計画で、東海道と中山道(江戸への出入り口)に寺を集中させて、いざというときに江戸の守り(宗教的なものではなく)にしようとした説があります。TOKYOが世界的に注目が高まっている昨今、江戸三十三観音をめぐることによって東京(江戸)に関するウンチクを増やすこともできますよ。

理由4:「終活」などに思いを馳せてみたりできる

お墓や葬儀、法事などが多様化している現在、お寺も様々に変化しているようです。葬儀や法事などの死者の供養だけではなく、生きている人に対する法話やイベントを催したり、現代的な永代供養を行ったり、ペット墓地を設けたり。もちろん東京に限ったことではありませんが、やはり都市部は地方に比べ地縁や血縁が希薄でもあり、街の変容と変化が顕著で象徴的です。

そしてやはりお寺はどこかしら「死」について考えさせられる場所でもあります。普段はほとんど考えないことですが、例えばパートナーと一緒にお寺に行って、自然と話題が「そのこと」になり漠然としていても相手の持っているイメージを聞くこともあるかもしれません。

にほんブログ村 コレクションブログ 御朱印へ
にほんブログ村

江戸三十三観音札所巡りにあたってのアドバイス

できれば「納経」を

本来の御朱印の意味は、お寺にお経を収めた受け取りのしるしと言われています(諸説あり)。ですから札所巡りの際はお参りに加えてできれば納経をされた方が良いと思います。書くお経は般若心経が一般的です。

私はアマゾンでなぞり書き用の用紙を買って筆ペンで書いています。御朱印をお願いする際に、「納経をお願いします」と言って、書いたお経を渡しましょいう。中には納経をお願いするとご本尊様の前に直接納めさせてくれるところもありますし、自分の書いたお経を両手に頂いて受け取ってもらえるだけでもなんとなくうれしいものです。

私の使っているなぞり書き用の写経用紙

 

専用のご朱印帳は無い

札所めぐりは専用のご朱印帳があったりしますが、昭和新撰江戸三十三観音には専用のご朱印帳はありません。私は江戸三十三観音用に1冊御朱印帳を用意しました。

どこの札所巡りでもそうですが、1番から昇順(順打ち)あるいは最終札所から降順(逆打ち)に回るという回り方はありますが、それはルールではありません。自分の都合の良い順番に回っても良いのです。ただしランダムに回って御朱印帳の前から順番に御朱印をいただくと、御朱印の順番までランダムになってしまいます。もちろんそれでも全く良いのですが、回るのはランダムでも御朱印は順番通りに捺してもらいたいと思っている人もいるでしょう。私もそうでした。

札所巡りはランダムに回って御朱印は順番に並べる方法

御朱印を順番にもらうために私がとった方法をご紹介します。

まず、新しい御朱印帳のページのはじっこに鉛筆で薄く番号を振っていきます。そして御朱印をいただくときにそのページを開いて渡し、「○番と書いてあるところにお願いします」と言えばよいのです。

また、御朱印帳はなぜか24ページのものが多くなっています。ということは34か所の御朱印は1冊に押し切れないことになります。しかし御朱印帳には蛇腹式で表紙と裏紙の二重構成になっているものがあります。これなら裏面に御朱印をいただくことが可能です。ですから江戸三十三観音用に新しく御朱印帳を用意するのでしたら、そういったものを選ぶようにしましょう。

私がいつも御朱印帳を買っているのが「御朱印帳専門 HollyHock」。ここにはオーソドックスな物からキティちゃんなどのキャラクタとのコラボ御朱印帳、和柄、パステル系などありとあらゆる種類の御朱印帳が揃っています。

お寺のご本尊と江戸三十三か所札所本尊が違うお寺もある

三十三観音というくらいですから、この巡礼では観音様にお参りするわけですが、三十三観音の観音様は「札所本尊」です。この札所本尊イコールお寺のご本尊の場合もありますが、そうではない場合もあります。その場合、札所本尊の観音様は本堂ではなく別に立てられている観音堂に安置されている場合もあります。

お寺のご本尊と三十三観音の札所本尊が違う場合は、それぞれに御朱印があります。ですから御朱印をいただく際には「江戸三十三観音のご朱印を」といえば間違いありません。もちろんご本尊様と札所本尊の両方をお参りしたのなら、両方の御朱印をいただいても良いですね。

順番にこだわらなくてもOK

昭和新撰江戸三十三観音の札所は、ある程度東から西に順番に並んでいます。しかし前述したように順番にはこだわらずに、行けるところから行って構いません。私もそうしました。

巡礼を終えた「結願」印がある

これはあまり知られていないことかもしれません。

34番札所の泰叡山瀧泉寺(目黒不動尊)には全て廻り終わったことを証する「結願(けちがん)印」が用意されています。とはいえ、この結願印をもらうために34番泰叡山瀧泉寺を最後に回る計画を立てなくても大丈夫です。

泰叡山瀧泉寺で御朱印を捺してくださったお寺の方がおっしゃっていましたが、巡礼が終わった後に改めて結願印だけいただきに行っても良いそうです。

ちなみに私は一番札所の浅草寺で最後のご朱印をいただきましたが、その時に結願印があるか尋ねたら、結願印は無いけれど、墨で「結願」と書き足してくださいました。(下の写真参照)

手書きの「結願」

浅草寺でいただいた手書きの「結願」

昭和新撰江戸三十三観音札所データ

各寺院のレポートと写真は、それぞれのページをご覧ください。何だかんだ言いましたが、健康的で(割と)知的で(比較的)お金のかからない大人のレジャーとして気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。

寺院名をクリックするとその寺院のレポートページに飛び○
札所番号寺院名ふりがな宗派札所本尊所在地
第1番金龍山 浅草寺きんりゅうざんせんそうじ聖観音宗聖観世音菩薩台東区浅草2-3-1
第2番江北山 清水寺こうほくざんほうじゅいんせいすいじ天台宗千手観世音菩薩台東区松が谷2-25-10
第3番大観音寺おおかんのんじ聖観音宗聖観世音菩薩中央区日本橋人形町1-18-9
第4番諸宗山無縁寺回向院しょしゅうざんむえんじえこういん浄土宗馬頭観世音菩薩墨田区両国2-8-10
第5番新高野山大安楽寺しんこうやさんだいあんらくじ高野山真言宗十一面観世音菩薩中央区日本橋小伝馬町3-5
第6番東叡山寛永寺清水観音堂とうえいざんかんえいじきよみずかんのんどう天台宗千手観世音菩薩台東区上野公園1-29
第7番柳井堂心城院りゅうせいどうしんじょういん天台宗十一面観世音菩薩文京区湯島3-32-4
第8番東梅山花陽院清林寺とうばいざんかよういんせいりんじ浄土宗聖観世音菩薩文京区向丘2-35-3
第9番東光山見性院定泉寺とうこうざんけんしょういんじょうせんじ浄土宗十一面観世音菩薩文京区本駒込1-7-12
第10番湯壽山常光院浄心寺ゆしまざんじょうこういんじょうしんじ浄土宗十一面観世音菩薩文京区向丘2-17-4
第11番南縁山征徳院圓乘寺なんえんざんしょうとくいんえんじょうじ天台宗聖観世音菩薩文京区白山1-34-6
第12番無量山寿経寺伝通院むりょうざんじゅきょうじでんづういん浄土宗無量観世音菩薩文京区小石川3-14-6
第13番神齢山悉地院護国寺じんれいざんしっちいんごこくじ真言宗豊山派如意輪観世音菩薩文京区大塚5-40-1
第14番神霊山金乗院慈眼寺しんれいざんこんじょういんじげんじ真言宗豊山派聖観世音菩薩豊島区高田2-12-39
第15番威盛院光松山放生寺いじょういんこうしょうざんほうじょうじ高野山真言宗聖観世音菩薩新宿区西早稲田2-1-14
第16番医光山長寿院安養寺いこうざんちょうじゅいんあんようじ天台宗十一面観世音菩薩新宿区神楽坂6-2
第17番如意輪山宝福寺にょいりんざんほうふくじ真言宗豊山派如意輪観世音菩薩中野区南台3-43-2
第18番金鶏山海繁寺真成院きんけいざんかいはんじしんじょういん高野山真言宗潮干十一面観世音菩薩新宿区若葉2-7-8
第19番医王山悉地院東円寺いおうざんしっちいんとうえんじ真言宗豊山派聖観世音菩薩杉並区和田2-18-3
第20番光明山和合院天徳寺こうみょうざんわごういんてんとくじ浄土宗聖観世音菩薩港区虎ノ門3-13-6
第21番三縁山広度院増上寺さんえんざんこうどいんぞうじょうじ浄土宗西向聖観世音菩薩港区芝公園4-7-35
第22番補陀山長谷寺ほださんちょうこくじ曹洞宗十一面観世音菩薩港区西麻布2-21-34
第23番金龍山大円寺きんりゅうざんだいえんじ曹洞宗聖観世音菩薩文京区向丘1-11-3
第24番長青山宝樹寺梅窓院ちょうせいざんほうじゅじばいそういん浄土宗泰平観世音菩薩港区南青山2-26-38
第25番三田山水月院魚籃寺みたさんすいげついんぎょらんじ浄土宗魚籃観世音菩薩港区三田4-8-34
第26番周光山長寿院済海寺しゅうこうざんちょうじゅいんさいかいじ浄土宗亀塚正観世音菩薩港区三田4-16-23
第27番来迎山道往寺らいごうざんどうおうじ浄土宗聖観世音菩薩,千手観世音菩薩港区高輪2-16-13
第28番勝林山金地院しょうりんざんこんちいん臨済宗南禅寺派聖観世音菩薩港区芝公園3-5-4
第29番高野山金剛峯寺東京別院こうやさんこんごうぶじとうきょうべついん高野山真言宗聖観世音菩薩港区高輪3-15-18
第30番豊盛山延命院一心寺ぶじょうざんえんめいいんいっしんじ真言宗智山派聖観世音菩薩品川区北品川2-4-18
第31番海照山普門院品川寺かいしょうざんふもんいんほんせんじ真言宗醍醐派水月観世音菩薩,聖観世音菩薩品川区南品川3-5-17
第32番世田谷山観音寺せたがやざんかんのんじ単立聖観世音菩薩世田谷区下馬4-9-4
第33番泰叡山瀧泉寺たいえいざんりゅうせんじ天台宗聖観世音菩薩目黒区下目黒3-20-26
番  外龍吟山瑞林院海雲寺りゅうぎんさんずいりんいんかいうんじ曹洞宗十一面観世音菩薩品川区南品川3-5-21

追記:江戸三十三観音巡礼のコースマップを作りました。

江戸三十三観音ルート徹底ガイド①:浅草周辺コース【マップ付】
毎週末の東京ウォーキングの経験をフルに活用して江戸三十三観音巡礼のパーフェクトルートマップを作りました。スタートは浅草、合羽橋、両国、人形町という下町の見どころを網羅しました
江戸三十三観音ルート徹底ガイド②:谷根千コース【マップ付】
江戸三十三観音完全ルートマップ第2弾は、寺好きレトロ好きの聖地と呼ぶべき谷根千と上野エリアを、考え抜いた寄り道も交えてご紹介します。
江戸三十三観音ルート徹底ガイド③:東京文京地域・神楽坂コース【マップ付】
江戸三十三観音巡礼ルート第3弾は、文京地域の学校・大学の周りを多く通り、粋の街神楽坂に至るコースとなっております。
江戸三十三観音ルート徹底ガイド④:神宮外苑・六本木コース【マップ付】
江戸三十三観音巡礼おススメルート第4弾は四谷から青山、六本木、虎ノ門などをまわるコース。神宮外苑や六本木ヒルズ、麻布十番など都会っぽい場所をルートに組み込みました。

コメント