江戸三十三か所札所巡りをしたいけど、具体的にどういうコースがいいの?
オススメの回り方、周辺の観光地も一緒にまわる場合は?
そんな疑問をお持ちの方に、江戸三十三観音、東京十社、関東三十六不動、秩父三十四か所の札所巡り経験者、かつ週末には東京中を歩き回っている私アカジンがオススメのコースをオリジナルルートマップ付きでご紹介するコーナーです。
歩き巡礼を強く推奨する当サイトですが、電車やバスを併用した回り方もあわせて紹介します。
すべての札所が東京23区内にある江戸三十三観音だからこそ、電車やバスも利用しやすいわけで、歩き巡礼はハードルが高いと思っている方も電車やバスを上手く使って自分に合う回り方を見つけてくださいね。
巡礼以外のオススメポイントも惜しみなくご紹介しますよ!!
今回のルートは、駒込、谷根千、上野、湯島などをめぐるコース。
6番、7番、8番、9番、10番、11番、そしてちょっと飛んで23番札所と、合計7か所を回りますが、順路は番号順でなく、9番、11番、23番、10番、8番、6番、7番となります。
そして注意事項。前半の5つのお寺(9番、11番、23番、10番、8番)は、当サイト分類による「地元のお寺」です。
地元のお寺とは、観光やお祓いで行くようなお寺ではなくお墓や檀家がある、町のお寺のことです。
こういったお寺は、住職さんの住まいも兼ねていることが多く、訪れる際は人のお宅を訪問するような気持ちでいきましょう。
ですから行く時間も気を付けなければなりません。
これは覚えておきましょうね。
そこで今回のコースでは先ほどご紹介した1か所目から5か所目まで、午前中(11時半くらいまで)に回り終えられるようにスケジュールを組んでください。
幸いなことにこれらの5か所は近くにかたまっています。ですから2時間もかからず回ることができますので安心してくださいね。
9番札所:定泉寺
コースのスタートは9番札所の東光山見性院定泉寺から。
最寄り駅はいくつもあるので、ご都合のよろしい駅からどうぞ。
- 東京メトロ南北線本駒込駅:徒歩1分
- 都営地下鉄三田線白山駅:徒歩7分
- 東京メトロ千代田線:徒歩12分
- JR山手線駒込駅:徒歩18分
下の動画は、住職さんによるお寺の紹介です。
こちらのご本尊は阿弥陀如来で、江戸三十三観音の札所本尊は十一面観音です。本堂の扉は普段閉まっていますが、目の高さのところが透き通ったガラスになっているので、ここから中を見ることはできます。
でも、御朱印をいただきに寺務所に行けば、中から本堂に上げてもらってお参りができます。納経も本堂に行ったときに直接自分で納めます。
東光山見性院定泉寺について詳しくは
次は11番、圓乘寺に向かいます。
定泉寺から11番札所圓乘寺への移動ルート
定泉寺を出たら、出た道を右に進みます。駒本小学校前の信号を斜め右に入り、旧白山通りと交わる「白山上」の交差点で白山通りを渡り、もう少し進んだあと、ER動物救急センター文京のところから細い道に入って、左に折れたら圓乘寺の入り口が見えてきます。
11番札所:圓乘寺
南縁山征徳院圓乘寺は、八百屋お七のお墓があるお寺として有名で、お寺の入り口には八百屋お七について書かれた看板が立っています。
こじんまりとしてた昔ながらの家屋が並ぶところに、妙にフィットして歴史を感じさせるお寺があります。
本堂の中はガラス越しに見ることができます。御朱印は本堂の左にある窓口からお願いしていただきます。
南縁山征徳院圓乘寺について詳しくは
次は23番札所大円寺に向かいます。
圓乘寺から23番札所大円寺への移動ルート
圓乘寺を出たら来た方向と反対に進みます。一つ目の角を左に曲がるとまた白山通りに出るので反対に渡り左手、一つ目の路地を右に曲がると突き当りに大円寺のちょっと鳥居っぽい赤い山門が見えます。
23番札所:大円寺
鳥居風というか中国風の山門の向こうに土器のようなものと千羽鶴が特徴的なお堂があります。これは前に行った11番札所圓乘寺でも触れた「八百屋お七」を供養するためのほうろく地蔵があるお堂です。八百屋お七、色々なところで供養されているんですね。
ほうろく地蔵と並んでこのお寺で有名なのが「七観音」。七観音とは聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・准胝(じゅんでい)観音・不空羂索(ふくうけんじゃく)観音の7つの観音様のことで、上野の西郷さん像を作った彫刻家にして仏師である高村光雲作です。光雲作の観音様は惜しくも戦災に遭ってしまいましたが、そののち光雲の弟子によって新しくつくられたそうです。
本堂の入り口の一部がガラス張りになっていて、そこから中をうかがい知ることができます。
御朱印は、本堂の右側にある寺務所でいただきます。
金龍山大円寺について詳しくは
次は10番札所浄心寺に向かいます。
大円寺から10番札所浄心寺への移動ルート
大円寺の山門を出たら右に進みます。道なりに進んで学校(向丘高校)と公園の間を抜けて大きな道に出ます。これが本郷通り。本郷通りを右に進んでいくと、左手に大きな布袋様が見えてきます。ここが目的地の10番札所湯壽山常光院浄心寺です。
10番札所:浄心寺
ここまで各札所間の距離は数百メートルと、このあたりはお寺の密集地帯です。その中でも通り沿いの巨大な布袋様が浄心寺の目印です。
桜の名所でもあり、札所本尊の観音様の別名は「桜観音」。御朱印の墨書きも桜観音です。その札所本尊の十一面観音は、本堂のご本尊である阿弥陀如来の脇侍として本堂で阿弥陀如来の右側にいらっしゃいます。本堂入り口のガラス越しに見ることができます。
御朱印は、本堂の右手にある寺務所を訪ねていただきます。
湯壽山常光院浄心寺について詳しくは
浄心寺から8番札所清林寺への移動ルート
浄心寺を出たら本郷通りを右に行きます。来た方向に戻る感じですね。そのまま本郷通りを進んで向丘二丁目の交差点を右に曲がると次の札所8番清林寺に着きますが、せっかくなのでお寺だらけの路地を行くのも面白いもの。なのでルートマップでは路地を通るコースをご紹介します。
徒歩での移動が辛い人は
- 本日ここまでの5つの札所はバスにも電車にもタクシーにも乗るスキがないくらいの近距離に位置していますので、回るのは歩き一択です。
8番札所:清林寺
東梅山花陽院清林寺は「団子坂通り」という通りに面しています。
本堂と寺務所の間にお堂があり、そこに札所本尊の観音様が安置されています。
硝子越しですが、厨子も開けられていて、観音様を見ることができます。
御朱印は観音様のお堂の右手にある寺務所に行っていただきます。
清林寺は境内に飛鳥様式の三重塔を建設中です。飛鳥様式の塔ですので、ざっくりいうと奈良の法隆寺っぽい感じですね。
めったにお目にかかることのできない三重塔の建設現場に興味がある人は、清林寺を定点観測してみると良いかもしれません。
工事の様子は同寺公式サイトでも公開されています。
東梅山花陽院清林寺について詳しくは
さて、ここまで若干駆け足でお参りをしてきましたが、ここから次の目的地、6番札所清水観音堂までの道が今回のウォーキングポイントです。谷根千や上野公園の散歩を楽しみましょう!
清林寺から6番札所清水観音堂寺への移動ルート
清林寺を出たら左に進みます。出てさっそくとなりのお寺の細長い塔が目に入ってきますが、これは「駒込大観音」が安置されている観音堂。
江戸時代に作られた観音様は東京大空襲の被害に遭ってしまったそうで、現在は平成5年に再建された6メートル超の金ぴかの十一面観音が安置されています。塔の前はちょっとした遊具がある小公園のようになっていて、観音様は地域の子どもを見守っているのですね。
清林寺や駒込大観音を過ぎると「団子坂上」という交差点。その名が示す通り、ここから不忍通りの交差点「団子坂下」まではそこそこ急な下り坂です。団子坂下交差点を渡ると同じ道が団子坂通りから三崎坂通りに変わります。
どっしりと老舗感のある有名店「菊見せんべい」の2件ほど先にある信号を進行方向左、写真の2軒の間を通る道、そこが「よみせ通り」です。
よみせ通り真ん中くらい、左手にドラッグストアの「ぱぱす」があるところを右に曲がると「谷中銀座商店街」です。
立ち寄りスポット
谷中銀座あたりの街歩きについては、先人たちが詳細なレポートをたくさん紹介してくれています。
その中でお散歩気分が良く出ているサイトを紹介します。
谷中商店街の人気のお店の紹介やお散歩マップなど、もりだくさんの内容です。
谷中銀座商店街の公式サイトはこちら
谷中銀座商店街の象徴である「夕焼けだんだん」を登って、少ししたところを右に曲がり、朝倉彫塑館の前の道を行きます。途中観音寺の築地塀などを見つつ、、谷中霊園と合流する道を経て道なりに進むと、言問通りと交差する「上野桜木」交差点。谷中エリアはここまでで、ここから先は上野公園や芸大など、上野の山エリアに入ります。
上野桜木交差点を渡ると両側にあるのが東京芸術大学(芸大)。明治、大正のモダンでレトロなキャンパスはさすが国立大学といったたたずまいです。さらに行くと左手には国立博物館の重厚な姿が見えてきます。
東京芸大の国立博物館一番国立博物館寄りの黒田記念館には、レトロな建物を生かした「上島珈琲店黒田記念館店」があります。おそらく一番雰囲気のある上島珈琲店でしょう。テラス席もあります。そして道を挟んで国立博物館側の角にはなにやら廃墟のような石造りの建物が。これは廃駅となった京成の「旧博物館動物園駅」があります。2004年に廃駅となりましたが、2018年には東京都選定歴史的建造物に選ばれ、一般公開もされています。
国立博物館の正門の向かい側から右に折れて上野公園に入ります。大噴水のある広場からまっすぐ進み、お花見で有名なメインストリートを歩いて行くと、次の目的地6番札所の寛永寺清水観音堂です。
徒歩での移動が辛い人は
- 都営バス上58上野松坂屋前行「団子坂下」停留所から「上野公園」停留所下車
- 台東区循環バス「東西めぐりん」で「千駄木駅」停留所から「不忍池」下車。土日は不忍池には停まらないので、次の「京成上野駅」で下車
6番札所:清水観音堂
上野公園のメインストリートを上野動物園、上野大仏、上野東照宮などを過ぎて進み、右手に不忍池への階段が伸びている左側が目指す6番札所清水観音堂です。
清水観音堂は、東叡山寛永寺の一部、というか江戸時代は上野公園全部が寛永寺の敷地でした。
寛永寺について詳しくは
清水観音堂と不忍池の風景は、江戸時代の浮世絵画家歌川広重の「江戸名所百景」にも描かれている昔からの名所。清水寺を模した舞台づくりの境内とその前にあるくるんと曲がった松の枝は、震災や戦災を潜り抜けて奇跡的に当時のまま残っています。
東叡山寛永寺清水観音堂について詳しくは
さて次は、本コースの最後の札所、柳井堂心城院へ向かいます。
寛永寺清水観音堂から7番札所柳井堂心城院への移動ルート
清水観音堂を元来た道(上野公園のメインストリート)方向に出たら、メインストリートを横切って階段を降りて不忍池へ向かいます。
不忍池はハスが有名で、夏の午前中は清らかな蓮の花が見られます。高層マンションと蓮の花越しの弁天堂は、摩天楼と自然が共存する東京らしい風景です。
不忍池の周りを時計回り(左方向に)周り、野外ステージの手前から道(不忍通り)に出て進行方向に歩いて行くとすぐに「池之端1丁目」の交差点がありますので、ここを左折。さらに一つ目の「天神下」交差点を右折、その後一つ目の路地を左に曲がります。
そして一つ目の十字路を右に曲がれば、目指す7番札所柳井堂心城院です。
徒歩での移動が辛い人は
- ここも1キロくらいの距離なので、乗り物に乗るよりは歩いた方が便利です。
6番札所:柳井堂心城院
学問の神様湯島天神のふもと、「男坂」という急な階段の下にある柳井堂心城院。この「男坂」が湯島天神の表門になるそうです。ご本尊が「歓喜天」という何やらおめでたい名前ですが、この歓喜天というのが頭が像で体が人間という中々個性的なお姿をしています。多くの歓喜天をまつるお寺では、その霊力が強すぎるので絶対秘仏となっていることが多く、心誠院の歓喜天も絶対秘仏です。
この歓喜天とセットでまつられるのが十一面観音で、心誠院でも十一面観音が江戸三十三観音の札所本尊になっています。
柳井堂心城院について詳しくは
6番札所柳井堂心城院からの帰路ご案内
さて、これにて江戸三十三観音おススメルートその②はゴールです。お疲れさまでした。
柳井堂心城院からのお帰りは
- 東京メトロ千代田線・湯島駅:徒歩2分
- 東京メトロ銀座線・上野広小路駅:徒歩8分
- 都営地下鉄大江戸線・上野御徒町駅:徒歩8分
- JR・御徒町駅:徒歩10分
- 都バス都02系統・湯島3丁目:徒歩2分
本コースの詳細マップ(ポイント解説付き)
長々お付き合いありがとうございました。
午前中に駒込方面の札所を一気に回り、そのあとゆっくりと谷根千の独特の街並みや上野公園の豊かな自然と歴史を堪能するこのコース。
谷根千では雑貨屋巡りや食べ歩き、はたまた谷中霊園散策や札所以外の多くのお寺を見て回ったり、上野公園では動物園や博物館に寄り道するのも良いかも知れませんね。
今回作成した地図はこちら。
冒頭でご案内ましたが、至らぬ部分もございますので、いざお出かけの際はもう一度ご自分で確認してからお出かけくださいね。
昭和新撰江戸三十三観音の概要や、札所巡りに関するアドバイスはこちら
昭和新撰江戸三十三観音この他のおススメ徒歩ルートはこちら
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