南無阿弥陀仏と唱える(念仏)とどんなに人でも極楽浄土に行けることから庶民に大人気を博した浄土宗。その西方極楽浄土に住み、死に際して迎えに来てくれるのが南無阿弥陀仏の阿弥陀如来です。
さて、人が死後極楽に行く際、その人の行いや信仰具合に応じてルートが違い、阿弥陀如来はお迎えに来るときには、その人がどのルートに該当するか印相(手の形)で表現するそうです。
そのルートは上の上~下の下まで合計9つあり、これを九品(くほん)といい、浄真寺はそれぞれ9種類の印相を結んだ9体の阿弥陀如来座像が揃っていることで有名なお寺なのです。九品仏が揃っているのは京都の浄瑠璃寺とここぐらいだそうです。
そんな情報を↓<仏像ワンダーランド鎌倉 東京>で仕入れ、紅葉には少し早いかもしれない11月末に出かけてみました。
最寄りの駅は東急大井町線の「九品仏(くほんぶつ)」。リア充度が高いと評判の自由が丘のお隣で、世田谷区奥沢という、ちょっとツウ好みの住宅街にあります。元は奥沢城だったそうで、現在も少しその遺構が残っているそうです。
話は少々それますが、この奥沢城には御姫様にまつわる「鷺草伝説」なるものがあるそうで、思わず「はいからさんが通る」の番外編、黒い狼こと鬼島森吾さんのエピソードを思い出してしましました。
戦国時代に秀吉の小田原征伐のあおりを受けて廃城となり、江戸時代四代将軍の時代に開創である珂碩(かせき)上人がこの地に浄真寺を創建しました。
この珂碩上人が高僧かつ優れた仏像制作者というマルチなお方で、このお寺の代名詞ともなっている九品仏像九体、そしてご本尊の釈迦如来坐像を制作しました。
九品仏は直線状に並んだ上品堂・中品堂・下品堂にそれぞれ三体ずつ安置されています。平成26年から順次お堂の大改修が行われていて、私が訪れた平成27年11月は中品堂改修の為、中品堂の3体の中品仏は現在仮住まいにおられるようです。
ちなみに上品とか下品との言葉はご想像通り阿弥陀来迎の九品から来ています。だたし、もし下品の来迎印を結んだ阿弥陀様があなたの死辺の枕に現れたとしても、安心してください。極楽行けますよ。
そしてこの三つの堂は西方極楽浄土=彼岸(あの世)を表し、三堂を西側に見て相対して建っているのが本堂です。この本堂は此岸(しがん=この世)を表すのです。この世の西に西方極楽浄土があると。そしてこの本堂に私が浄真寺を訪れたもう一つの目的、五劫思惟阿弥陀如来座像が安置されています。
本堂のご本尊珂碩上人自作の釈迦如来坐像は、金色に輝く堂々とした御姿。そしてお目当ての五劫思惟阿弥陀如来座像は内陣の左側にいらっしゃいました。
五劫というのは時間の長さ。何時間か何年間かとか計れる時間じゃないです。未来永劫の劫です。「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ」のごこうです。そのくらいの長い時間、全ての人と救おうとずーーーーーーーーーっと考えているうちに、髪が伸びてアフロ状になってしまったワケです。御顔つきも慈悲に満ちた阿弥陀様というよりは意思の強さや頼りがいを感じます。アゴのところのマリオネットラインも加齢ではなく深い思索を感じさせるところがウラヤマシイ限りですわ。五劫思惟の形式の仏像の作例は大変珍しいそうで、九品仏も併せて貴重な仏像が見られるお寺だったのですね。
紅葉には少し早かったけれど、少し色づいた境内は自然いっぱいでした。ただし銀杏の巨木はアレの匂いも中々のものでした。
九品山唯在念仏院浄真寺データ
- 名称 九品山唯在念仏院浄真寺
- ふりがな くほんざんゆいざいねんぶついんじょうしんじ
- 住所 東京都世田谷区奥沢7-41-3
- 宗派 浄土宗
- 本尊 釈迦如来
- 公式サイト https://www.facebook.com/Kuhonbutsu/
- 別名 九品仏
由緒書
御朱印
御朱印もまた珍しい九品阿弥陀如来の御朱印です。9通りの阿弥陀来迎印を結んでいます。
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