まるでステージのような内陣に祀られる巨大だけどリアルな渡海文殊像を祀る安倍文殊院

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2015年、フィギュアスケートのプリンス羽生弓弦のフリープログラムは「SEIMEI」。生命でも声明でもなく晴明、平安時代の陰陽師安倍晴明を主役にした映画「陰陽師」で使われた曲です。

この安倍晴明をはじめ、遣唐使になり唐に渡りその地で一生を終えた阿倍仲麻呂、飛鳥時代に蝦夷や樺太を平らげた将軍阿倍比羅夫などの人物を輩出している阿部氏の氏寺が安倍文殊院。阿倍氏の初代は第八代孝元天皇の皇子という由緒ある家柄で、飛鳥・奈良時代には高官を出したり、藤原家などと姻戚関係を結ぶ家柄でした。
平安時代に「安倍」の字を使うようになったといわれ、安倍晴明以降は陰陽師を輩出していきます。

安倍文殊院の創建は大化の改新の年で、大化の改新の新政権で左大臣に就任した阿倍倉梯麻呂(くらはしまろ)が氏寺として創建しました。安倍山崇敬寺文殊院といい安倍寺とか崇敬寺とも呼ばれるようですが、寺を代表する立派な文殊菩薩像から安倍の文殊さんとして人々の崇敬を受け、山門にも安倍文殊院と記されています。
阿倍文殊院

その名が示す通りこのお寺の一番の見どころは、やはりご本尊の文殊菩薩とその眷属で構成される渡海文殊の5像でしょう。獅子に乗った高さ7メートルの日本一大きな文殊菩薩像は、鎌倉時代のカリスマ仏師快慶の作で、脇侍4体を含め5体すべてが国宝です。

5像が祀られる本堂は江戸時代に再建されたものですが、須弥壇のある場所はモダンでシンプルな今風の造りになっています。小屋裏までぶち抜いたステージのような内陣にライティングも凝った渡海文殊像が、あたかも演者の様に立っています。こんなに強いライト当てちゃって大丈夫かと心配するくらいしっかりと明かりが取ってあって、リアルで細密で大きな仏像は今にも歩き出しそうなほどです。

当然ながら写真は撮れないので、国立博物館データベースから別の文殊五尊の写真を借りてきました。(並び順は安倍文殊院のものと異なります。あくまでもこんなセットだというご参考まで。

文殊菩薩の足の形、童子のポーズなども安倍文殊院のものとは異なります

文殊菩薩の足の形、童子のポーズなども安倍文殊院のものとは異なります

①獅子に乗る文殊菩薩を中心に、従者として ②獅子の手綱をとる中国の貴人っぽい像、③童子、④老人、⑤錫杖を持つ僧という構成で、安倍文殊院のそれは①騎獅文殊菩薩像、②優填王(うてんおう)、③善財童子、④最勝老人(安倍文殊院では維摩居士とよんでいる)、⑤仏陀波利三蔵(安倍文殊院では須菩提と呼んでいる)です。

信仰の対象としてはもちろん、芸術品という意味でも見応えがあると思います。

安倍文殊院データ

  • 名称 安倍文殊院
  • ふりがな あべもんじゅいん
  • 住所 奈良県桜井市阿部645
  • 宗派 華厳宗(別格本山)
  • 本尊 文殊菩薩
  • 公式サイト http://www.abemonjuin.or.jp/
  • 札所 日本三大文殊霊場1番、奈良大和四寺巡礼

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東京在住50代、ウォーキング、御朱印集め、写真撮影と現像、70年~80年代の少女漫画(りぼん・別マ派)、中国語学習などが趣味。
遠くない将来に愛媛に移住して下宿屋と海の家を営みながら四国八十八か所巡りをしようと画策中。

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