当アカジンジャーナルのサイトアクセスの統計を見ていると、最近コロボックル物語のページへのアクセスが多いことに気づきました。何でだろう?と思っていたら。。。
昨日、スキマ時間に書店に寄ったらなんと!「コロボックル物語」の新刊「だれもが知ってる小さな国」が出ているではありませんか!それも一昨日発売。何というご縁でしょう!!
巻末にある佐藤さとる氏による「有川浩さんへの手紙」じゃないけど、もうイッキ読み。そしてとにかく心が温かくなり、胸が熱くなり、恥ずかしながら泣いてしまいました。 あまりにも感動したので、この感動が冷めやらぬうちに感想を書き留めておくことにします。
出たばっかりの本なので、ネタバレしないように気を付けて書いていきます。でもネタバレしないようにすると、「ここが良かった」ことを具体的に書けないんですけど。
前作の消化不良でさえも伏線の一つ?
昨年、人気作家の有川浩さんが、コロボックル物語の生みの親である佐藤さとる氏からバトンを受け継いで、コロボックルシリーズの続編「コロボックル絵物語」が出版されました。もちろん楽しみに読みましたが、コロボックル絵物語は、佐藤さとる氏のコロボックル物語のあらすじを紹介しながらの小さなエピソード披露程度の趣で、正直なところ、若干拍子抜けのきらいがありました。
しかし、今回の「だれもが知ってる小さな国」はコロボックル物語の本格的な続編です。そして「コロボックル絵物語」を「拍子抜け」と言ってしまったことを謝らなきゃと思います。申し訳ありませんでした。「コロボックル絵物語」自体が、この「だれもが知ってる小さな国」の伏線なんですね。
冒頭から「をを!」とうならせる
まずは、冒頭の文章で、一気にコロボックル物語の中に引きいれられます。「だれも知らない小さな国」を幾度となく読んだ人ならタマラン部分です。
エピソードを追いながら主人公や家族、周りの人々などが生き生きと描かれていきます。
私は有川浩さんの小説はコロボックル物語の他には読んだことが無く、テレビで「三匹のおっさん」や「空飛ぶ広報室」を観ただけです。
両方とも見た後に悪いものが残らない良いドラマでした。
というか「三匹のおっさん」は、複雑な人間関係や誰が良い人か悪い人かわからないというモヤモヤがなく、年を取って予定調和と大団円が大好きになってしまった私にとって、「釣りバカ日誌」と同じくらい大好きなドラマシリーズになってしまいました。
ドラマを見る限り、有川浩さんは、さりげないエピソードで登場人物の魅力を光らせるのが上手いのかなと思いました。
さて、話を「だれもが知ってる小さな国」に戻します。
「だれもが知ってる小さな国」の中では特に女性主人公の性格を表す、「ドッヂ事件の後教室に戻ってきたときのセリフとしぐさ」、「ハチに刺されることについての意見」は、多少ベタではありますが、女性主人公のキャラクターを際立たせるわかりやすいエピソードだと思います。このようなひきつけ方が上手な作家なんでしょうね。有川浩さんは。
もう一つ印象に残っているのは、あまり本を読まない主人公が一冊の本を読んで、これまで親の目を盗んでまで夢中になっていたテレビゲームを屁みたいに思うクダリです。活字から物語が生き生きと飛び出してきて感動する様は、作者自身が佐藤さとる氏の「だれも知らない小さな国」を読んだ時の感動も含まれているように思います。
らせん状のコロボックルサイクルから次々に芽を出す新芽の物語へ
さて、物語はたくさんのエピソードと伏線をちりばめて、感動の収束へ向かいます。ハナっからコロボックルの物語だと知っているので承知の上の複線もたくさんありますが、最後のネタバラシで明らかになる伏線もあります。そして、たくさんの暖かい思いを知った時脳裏に浮かんでくるのが、佐藤さとる氏のシリーズでモチノヒコ前世話役が言った言葉「乾いた畑に水を撒く」です。コロボックル物語に込められた願いが、着実に実を結んでいることが証明されたのです。
それを証明したのが、有川浩さんであり、この物語の登場人物であり、そして読者である自分も、その一角を担っていると感じることができる一冊です。
佐藤さとる氏のコロボックル物語は、コロボックルと人間(味方)が、らせん状に繋がって共存していくことをうかがわせる終わり方をしていますが、有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」は、そのラストでコロボックルと人間の新しい関係が、新芽の様に色々なところに芽吹いていくことを予感させています。
最後に一つだけ気になったこと。
ハリーとお父さんの呼び名が気になっているのです。もしかしてココは新芽じゃなくて螺旋関係?
佐藤さとる氏の「コロボックル物語」についての考察は、次の記事をご覧ください。
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