大量輸送手段が水運に限られた江戸時代、江戸の町を日本の首都(というか幕府の所在地)として構築し、キープするために、徳川家康は物資を江戸に運び込むため、そして土地の確保と治水のために最初に水路を整備しました。
その一つが現在江戸川区を東西に流れ旧江戸川と荒川(中川)を繋ぐ新川です。その目的は行徳の塩を江戸に運ぶため。旧江戸川対岸の行徳から新川を通って東に物資を運び、さらに小名木川を通って隅田川に達するというルートです。この道は「塩の道」とも呼ばれましたが、塩だけでなく郊外の農家で作られた野菜、さらには成田山新勝寺の参詣客も運んだそうです。
元々あった「古川」という川を利用して直線的に作られた人口水路で、古川に対して新川と名付けられたようですが、逆に新川ができたから古川って呼ばれるようになったのであって、新川ありきの古川ではないのですか?なんて若干卵VSニワトリ論は置いといて・・・・。
水路としての役割はを既に終えているこの新川は、今「新川千本桜」プロジェクトを経て川辺の憩いの場になっています。平成4年から20年かけて耐震工事も含めた護岸整備をして全体的に江戸風のあしらいにして桜を植えて、はとバスツアーも誘致しちゃおうという野望も秘めたプロジェクトになっています。
別に、はとバスツアーなんぞ呼ばなくたって地域の人々の憩いの場って位置づけで充分だと思うんですけどね。
あと、地下には駐車場があるんですって。川の下に駐車場ですよ?
隅田川から千葉との県境までほぼノンストップで行ける仕上げの道
元々江東区のまっすぐな道と張り巡らされた水路に興味を持ってアレコレ調べたり歩いたりしていた中で、江戸川区にも水路が続いていることを発見したのはつい最近のこと。丁度東京を中心にした各種巡礼(東京十社、江戸三十三観音霊場、関東三十六霊場、秩父三十四箇所観音霊場)を一通り周り終わり、週末のハードウォーキングのネタを探しているときのことでした。
江東区が発する情報ではまったく見つからなかったのはさすが行政。
で、江東区側の水路は結構たくさんあるので追々紹介するとして、今回は新川千本桜ロードをご紹介します。冬だから桜は咲いていませんが、ご了承ください。
この日は江東区側から荒川を超えて江戸川区に入りました。荒川と中川の間の交差点で信号待ちの間に一枚。
荒川&中川を渡って、船堀一丁目団地の西側の道から南下して新川へ。ここのところ、船堀橋を渡ってすぐに中川沿いに行っても良いのかもしれません。その時見ていたMAPFAN+は船堀一丁目団地横の道を示していたので素直に従っちゃいましたが。。。
団地やフツーの郊外の住宅街を抜けて川に出るとポッカリと風景が開けます。同じ人口水路沿いでも小名木川塩の道や隅田川テラスとはずいぶん違います。堤防でガッチリ固められた前者に対して、親水感が高いというか、街並みが川の方を向いているというか。やはり江東デルタ地帯を抜けると川に対しておおらかになるのでしょうか?
後で調べてみると、このあたりも地盤沈下や洪水、ヒューマンエラーによる浸水など大変な歴史があったようです。そこで新川は旧江戸川に面した東端、中川に面した西端に水門を作って安定した水位を保てるようになったそうです。
上の写真とは反対側がこちら
中川・荒川方向を見た写真です。火の見やぐらは2010年に作られたもの。おそらく日本最新の火の見やぐらではないかと。いやもちろん火の見櫓として機能しているわけじゃないですよ。
この火の見櫓は中に上がることができるそうですが、週末昼間に限定されているとか小耳に挟んだので、中に上りたい人は事前調査をお勧めします。
火の見櫓の周辺は西水門広場となっているようです。
奥に首都高が走っているところが良くも悪くもポイントですね。
川にはおしどりがたくさんいました
犬の散歩をする人、釣りをする人、ベンチで休む人など、地元の人に存分に活用されている道という印象です。だから、はとバスとか来なくていいと思うんですけと。
上の写真を撮った桜橋は「広場橋」という種類だそうな。文字通り橋の上がちょっとした広場になってます。新川にはもう一つ「花見橋」という広場橋があります。ここでラジオ体操とか太極拳とか朝ヨガとかやったらどうでしょうね?
さて、そろそろ旧江戸川との合流点に着きました。
ついでなので、旧江戸川の河原に出て対岸の千葉県を拝んで来るとしましょう
水門の左側に写っている道を進むと、旧江戸川の河川敷に出られます。
旧江戸川はカミソリ堤防でガッチリ固められていますが、川沿いは”えどがわ健康の道”になっています。葛西臨海公園の付近から続いている道だそうです。
健康の道を通って旧江戸川を北上し、都営大江戸線一之江駅に行こうと歩いていたら思いがけずフォトジェニックな被写体を発見。うれしいオマケ
健康の道からもう一段堤防を経て、このあたり一帯の屋形船シェアダントツの「あみ幸」さんの屋形船が係留してある川岸に出る場所があるのですが、そこに行く階段をちょっと拝借して撮影。望遠レンズ持って来ればよかったな・・・
巡礼ロス状態を埋めてくれる存在として歩き始めた東京の水辺、もしかして千葉までその範囲を伸ばせるかもしれません。
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