よしなが大奥13巻のストーリーを大胆予想!①=13代将軍家定と天璋院篤姫= に続いて、2016年初夏に発売予定の13巻を待ちきれない江戸っ子(嘘、ホントは埼玉生まれ)のアカジンジャーナルが、大奥13巻を勝手に予想する第二弾です。

今回は12巻末の予告編に出てきた13巻の重要人物と思われる阿部正弘について。
よしなが大奥では阿部正弘は女の設定です。そして、赤面疱瘡根絶によって男子相続が奨励される中、阿部家では女子の正弘が阿部家の当主となります。

史実の阿部正弘

後に老中となる阿部正弘は、福山藩第5代藩主の五男。阿部家は徳川家が松平家だったころから代々仕えている、いわゆる「譜代大名」の家で、幕閣の要職を出す家柄です。
本来ならば五男では家督を継ぐ可能性もほとんど無いに等しいのですが、長男は廃嫡、さらに一旦は家督を継いだ三男が早々に隠居したため、五男の正弘が家督を継ぐことになりました。このとき阿部正弘18歳です。

よしなが大奥の予告では、阿部家当主のプレッシャーに耐えかねた兄が正弘に家督を継いでくれるよう懇願する場面がありましたが、ここは史実通りのようですね。

寺社奉行になった阿部正弘のデビュー作、智泉院事件・感応寺事件

家斉の側室で晩年の寵愛を一身に集めた「お美代の方(よしなが大奥の家斉編でも一コマだけ出てきましたね)」の父は日啓といって、智泉院という寺の僧侶でした。その祈祷があらたかだということで、大奥の人間は千葉の中山にある智泉院に盛んに詣でていました。そのうち、お美代の方の口添えにより 江戸の谷中にあった廃寺「感応寺」を復活させ、日啓がその住職に就任することになりました。
(日啓が感応寺を欲しがったのは、感応寺が持っている富くじ販売の利権が目当てだったとか、上野寛永寺、芝の増上寺に並ぶ将軍家菩提寺になることだったとかいわれれいます。
)そしてそこに多くの大奥の人間が出入りするようになりましたが、その目的は祈祷ではなく僧侶と奥女中たちの密会・乱行でした。

予てから大奥の風紀の乱れを苦々しく思っていた老中の水野忠邦と寺社奉行の脇坂安董(わきさか やすただ)は、この女犯事件を阿部正弘に捜査させ、 大御所家斉の死去を待って摘発にふみきりました。
ちなみに脇坂安董は、これ以前にもう一つの僧侶と大奥女中の女犯事件「谷中延命院事件」を担当しました。

事件が幕府の権威に関わると判断した阿部は、処罰を日啓と息子の日尚の女犯と、感応寺の取り潰し(物理的に)にとどめ、大奥には大ナタをふるうことはしませんでした。
この事件により、阿部正弘は時の将軍12代家慶に重く用いられるようになりました。

外交政策、外様の幕政介入

時代は幕末、泰平の眠りを覚ます外国船の来訪や開国要求などに幕府は翻弄されます。ただし、それは突然やってきたものではなく、よしなが大奥でも12巻で家斉がアヘン戦争のことを話す場面がありましたが、史実でも海外の情勢や、日本もいつしかこの欧米列強と渡り合わなければならない日が来ることは、幕府は承知していたようです。
阿部正弘も海防強化のため海防掛を設置し外交や国防について備えています。開国後も講武所や長崎海軍伝習所、洋学所などを創設します。

阿部正弘は、広く人の意見を聞き、あまり自分の意見を言わなかったと伝えられています。相次ぐ国難に対し、阿部は幕閣だけでなく、朝廷、外様大名、市民などからも意見を募りました。オープンで能力主義の体制にしようとしたのでしょうが、これが却って幕政の混乱を招いたといわれています。そのせいか、優柔不断とか八方美人との評価もありました。
そうした事態の収拾もままならないまま、紛糾した開国VS攘夷を穏便におさめようと日米和親条約を締結し、日本は開国し、それと同時に国内は血なまぐさい時代に突入していきます。

外交問題以外にも、将軍継嗣問題(一橋派VS南紀派)が激化したり、安政の大地震が起こったり、江戸城の金蔵に泥棒が入ったり、大奥の火事があったり、家慶の未亡人が隠居所で出入りの大工と密通したり、バタバタの毎日の中、阿部正弘は38歳の若さで現役のまま突如死亡します。その死因はすい臓がん、過労死、から暗殺説までがささやかれました。

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【予想】よしなが大奥の開国騒動

よしなが大奥の絶対的な世界観(!)は、鎖国は赤面疱瘡により男が激減してしまったことを隠すためです。
時代はついに開国となるわけですが、開国をしたということは、よしなが大奥では、その時点で日本の男女逆転の痕跡がすべて消し去られていなければならないわけです。
よしなが大奥の阿部は、自分が女で幕閣の中心人物でありながら、自らの痕跡をも消さなければならないわけで、そのために腐心する姿が物語の軸になりそうです。

陰間茶屋で出会った美男を影武者に

よしなが大奥13巻のストーリーを大胆予想!①=13代将軍家定と天璋院篤姫=でも触れましたが、13代将軍家定は、開国後にアメリカ領事館のハリスを引見しています。その時ハリを引見したのは男でなくてはなりません。
そこで登場するのが予告編に出てきた、阿部にため息をつかせた美男の陰間(男娼)なのではないでしょうか。

この説は、よしなが大奥13巻のストーリーを大胆予想!①=13代将軍家定と天璋院篤姫=で予想した「よしなが家定=篤姫説」も踏まえて立てた予想です。

男たちを頑張って鍛えなければならない

太平の世は終わりました。攘夷にせよ開国にせよ、日本は外国と渡り合わなければなりません。そのためには武力・兵力を高めていく必要があります。幸いにして男の頭数は復活しました。しかし長らくの太平の世、そして何より男子激減により武道や兵法の伝承も途絶えていることでしょう。

そこで、男子を集めて鍛えなければなりません。史実の阿部正弘は講武所などを設立したり、近代兵法や洋学の研究にも力を入れているようですが、よしなが大奥では男たちは長年荒事と無縁に過ごしていたため、指導者不足に悩むのではないでしょうか。

青沼部屋の末裔大活躍

12巻で登場した「天文方翻訳局」。よしなが大奥では赤面疱瘡の治療法研究の隠れ蓑として発足し、黒木が初代局長となり、後に蛮書和解御用と名前を変えました。その蛮書和解御用は阿部正弘によって、蘭学だけでなく広く洋学を修める「洋学所」となります。翌年には蕃書調所と名前を変えます。東大の前身です。

大奥12巻巻末の13巻予告編の一コマ、一人の男の子が、かつて大奥で蘭学を学んだ人(青沼部屋のメンバー)のことをうらやむ場面があります。口ぶりからして町人ですね。そして誰かに似てませんか?そう、伊兵衛に似ているんです。

伊兵衛は30人以上の子供を成したので、その子孫の一人ではないでしょうか?そしてこの男の子は洋学所に入り、立派な学者さんになると思います。後に歴史に名を残す人になるかもしれませんね。

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