コロボックル物語の年表をつくってみた② だれも知らない小さな国=後篇=

書籍

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国年表後半 コロボックルの味方になってからコロボックル小国の誕生まで

nenpyo6

さて、コロボックル物語の年表をつくってみた① だれも知らない小さな国=前篇=は、せいたかさんがモチノヒコ世話役からコロボックルの味方になってくれるよう依頼されたところまででした。その日は季節外れの台風が夜、1951年の7月でした。この台風が過ぎた数日後、おちび先生と彼女の勤め先である幼稚園で再再会します。

このときのおちび先生の意味ありげな発言から、おちび先生にもコロボックルの調査が入ります。


その後、しばらくたったある暑い日、小屋にお試し一泊に来たせいたかさんは、コロボックル総出の歓迎を受け、モチノヒコ老人から贈り物をもらいコロボックルの正式な見方として認められます。以降、せいたかさんの仕事には益々熱が入ってきます。

池をほる仕事も、なれるといくらか早くなった。(略)ぼくは、寒くなったらどうしようもならないと思って、はじめ考えていたよりも、あさい池でがまんすることにした。=だれも知らない小さな国~第三章矢じるしのさきっぽ

いつか小山には、またつばきの花がさき、ぼくの作った大きな池に、ポトリポトリとかすかな音をたてては散った。=だれも知らない小さな国~第四章わるいゆめ

夏に小屋を建て、冬の前に池ができ、また春がやってこようとしています。第四章の書き出してある上記引用文は、次なる「道路建設事件」が始まった時期です。このときせいたかさん23歳です。

それと並行して、おちび先生はコロボックル(おハギちゃん)の姿を見ます。おちび先生はその後、せいたかさんを仕事にかこつけて幼稚園に呼び出します。その時の会話から、せいたかさんは「夢作戦」を思いつきます。その夢作戦の実行中

そのころ、おちび先生からも、一度だけ電話がかかってきた。幼稚園は夏休みだが、先生はなかなか休めないといってから、小山のことをぼくに聞いた。=だれも知らない小さな国~第四章わるいゆめ

とあります。さらに

いつのまにか、すきとおった美しい空を、あかとんぼが飛ぶようになった。(略)役所からの返事がやっと村にとどいた日だった。=だれも知らない小さな国~第五章新しい味方

ここで道路建設事件が大団円をむかえました。よって道路建設事件は、せいたかさんが小屋を建てた翌年の春から秋までの出来事となります。

事件の終結を報告するせいたかさんの手紙へのおちび先生の返信の内容から、せいたかさんとコロボックルたちは、おちび先生を新しい味方にすることを決めます。そしておちび先生がコロボックル達の歓迎を受けた日

その日曜日は、秋ばれの上天気だった。=だれも知らない小さな国~第五章新しい味方

この日、おちび先生が言っていた「立って歩くカエル」の正体がわかり、せいたかさんとおちび先生の本当の出会いの日がいつだったかがわかります。ここのくだりが私は大好きで、この物語を崇高なラブストーリーであると強く思った場所です。


さて、その直後、おちび先生の助言を経てコロボックルたちは、学校をつくります。そして世話役のモチノヒコの依頼により、せいたかさんはコロボックル小国の物語をまとめはじめます。

そして、ついにコロボックル小国誕生の日がやってきます。それは、次の年の春のことです。

いろいろなことのあった一年がすぎて、小山には、またつばきの花がさいた。=だれも知らない小さな国~第五章新しい味方

この季節に、せいたかさんはコロボックルとおちび先生のアイデアで貰った懸賞金20万円で小山を買い取ります。コロボックル小国の誕生の日は

ちょうと小山は、きらきら輝く若葉につつまれていて、まるで、たからもののように見えた。=だれも知らない小さな国~第五章新しい味方

上記の文からコロボックル小国建国は1953年春のことです。せいたかさんは24歳になっています。

ちなみに、20万円の価値ですが
総務省統計局発表の消費者物価指数(全国,中分類別) –  持家の帰属家賃を除く総合 によると
昭和30年/17.7:平成17年/100 でした。
これを20万円にあてはめると、1,129,943円に相当するので、おおよそ100万円といったところでしょうか?ここから小山の広さが導き出せるかなぁ?と一瞬思いましたが、いくらなんでも無理ですね。ははは。

さて、この物語の書き出しは

二十年近い前のことだから、もうむかしといっていいかもしれない。ぼくはまだ小学校の三年生だった。=だれも知らない小さな国~第一章いずみ(書き出し)

です。これにより「誰も知らない小さな国」は、物語の出来事が終了した後に、せいたかさんがそれを語る体裁をとっていることが判ります。
小学校三年生を9歳とすると、この物語を語っているせいたかさんは20代後半ということになります。24歳で小山を手に入れて、それまでのことを回想するとなるとドンピシャですね!

おちび先生の年表も作りました

最後におちび先生について。子ども時代のせいたかさんとおちび先生が出会ったとき、おちび先生は

わたしは小学校の一年生で、はじめての夏休みだったのよ。=だれも知らない小さな国~第五章新しい味方

そしてせいたかさんはというと、小学校三年生の夏休みに小山をみつけ、その翌年の夏休みにおちび先生と出会っているので、その時は小学校四年生でした。つまりおちび先生より3歳年上ですね。せいたかさんと再会したときは、せいたかさんが就職した年のつばきの咲くころなので、おちび先生18歳です。そして次の年の夏頃に幼稚園で再再会しています。

さて、そんなこんなで「だれも知らない小さな国」の年表ができあがりました。この年表は期せずして(あるいは作者の見えない意図にのせられて)現実世界の年号と呼応しています。そして今のところ他の物語との相関関係はありませんが、今後二話以降の年表も作る予定で、それには各話の相関関係が出てくることになるでしょう。
nenpyo1

2015年10月追記

佐藤さとる氏からコロボックル物語のバトンを受け取った人気作家の有川浩さんによる、新しいコロボックル物語が始まりました。
かわいた畑に撒いた水からたくさんの芽が出て「だれもが知ってる小さな国」ができあがった

書籍
akajinをフォローしていただけると嬉しいです!
akajin

東京在住50代、ウォーキング、御朱印集め、写真撮影と現像、70年~80年代の少女漫画(りぼん・別マ派)、中国語学習などが趣味。
遠くない将来に愛媛に移住して下宿屋と海の家を営みながら四国八十八か所巡りをしようと画策中。

akajinをフォローしていただけると嬉しいです!
アカジンジャーナル

コメント