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小学生のころに読んだ「コロボックル物語」

身の丈一寸ほどの人間「コロボックル」が主役の「コロボックル物語」シリーズの第一巻である本書は、奇跡の小人「コロボックル」と現代の人間が関わりを持つようになるまでの物語です。もちろん児童文学であり、恋愛物語ではありません。読んだ当初(小学校中学年くらい)の私は当然ながら物語の主軸のストーリーに心奪われました。そしてこのシリーズは、子供時代に結構な読書家だった私の中でもかなりのお気に入りとなりました。続巻も全て読みました。巻を追うごとに変化していくコロボックルの国、人間との関わりに自分の妄想や願望を交えながらワクワクしたものです。

大人になってから何故か急にまた読みたくてたまらなくなり、文庫版で買い直し再読しました。自分の子供に読ませたかったという理由もあります。

ところが大人になって再度読んでみると、コロボックルと関わりを持つようになる主人公「せいたかさん」と、後に彼と結ばれる「おチビ先生」の部分を追っていくにつれ、他人同士が一緒になって新しい家庭を築いて行くために欠かせないポイントが見えてくるような気がしてきたのです。そして、徐々に心を寄せ合っていく二人は理想の恋人→夫婦であり、読後の心あたたまる感覚が、ハッピーエンドの恋愛小説を読んだそれに似ていることに気づきました。

「運命の人」たるべき要素が満載

主人公の「せいたかさん」は子供の頃の「とある体験」を、心の中に大切に温めています。
青年になり、「とある体験」をした場所を再び訪れ、それがが幻ではないことを知ります。
それは彼の世界観を変えてしまうものであり、若く貧しい彼の心を温め、鼓舞してくれるものでした。
それと同時に、絶対に誰にも言えない秘密を抱えることになります。
そんな中、「おチビ先生」に出会います。

「せいたかさん」にとって、心の中の秘密というのは自分の根幹を成すくらい大切なものです。
その大切な秘密を共有することを「秘密」から認められたおチビ先生。
そして、「とある体験」を心の中で温めていたのは自分だけではなかったと知る主人公。
(↑ここのシーンが私は一番好きです。)

「奇跡」によって選ばれた二人です。
地球上で二人しか知らない秘密を共有している二人です。
そして「奇跡」によって祝福された二人です。

二人の世界を守っていく。
守っていくことにおいて見ている方向が同じである
世界を成す者からも守られている

一生を共にし、新たな家庭を気づいていく男女の結びつきというのはかくのごとく神聖でありたいという意味で、私はこの児童文学をあえて「ラブストーリー」の範疇に入れたいと思うのです。

だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1

佐藤 さとる (著), 村上 勉 (イラスト)

2015年10月追記

佐藤さとる氏からコロボックル物語のバトンを受け取った人気作家の有川浩さんによる、新しいコロボックル物語が始まりました。
かわいた畑に撒いた水からたくさんの芽が出て「だれもが知ってる小さな国」ができあがった